2021年2月14日 こだわり
四十八茶百鼠の精神が髪に宿るとき

” 四十八茶百鼠 ”
” しじゅうはっちゃ ひゃくねずみ ” と読みます。
これは、江戸時代後期 の言葉で
私も20年ほど前に偶然出会ってから、深く感銘を受けている一語です。
江戸時代後期ごろ・・・ 町人や商人は徐々に生活が豊かになってきて、 着るモノの素材や色に変化がでてきたそうです。
良いものを着たい。 キレイな色を身につけたい。そう思うのは 当然の事ですが、 幕府のお役人様は 良い顔をしません。
なにせ階級社会にして、 着ているモノの素材と色が 身分に関係なく 大して変わらなくなってきてしまっているのですから・・・・。
そこで、 ” 奢侈禁止令 (しゃしきんしれい) ” を 幾度となく発令しました。
分かりやすく言えば、 贅沢禁止令です。
それは、 庶民の ” 着物の色・柄・生地 ” にまでも 細かい規定を設けたものでした。
確か、食べてよい物の他に、 花札やカルタ、花火などの遊びまでも 禁止されたようです。 ㅤ
衣服(着物)に関して 公然と身につけられる 素材は ” 麻素材 ” もしくは ” 綿素材 “ そして色は ” 茶色 ” ” 鼠色 ” ” 納戸色(紺色) ” のみと限定されてしまいました・・・。
現代では ありえない話ですが、 もし、みなさんが普段着て良い色に 制限をかけられたらどうします??
『 隠れてコソコソ着る?』 『 諦める?』
そして、庶民の人々の色彩への欲求は 逆に この3色に集中し、 それぞれの色の中に 微妙な色調を工夫し 着物を染め上げ、 繊細な色彩の違いを 楽しんだのです。
そのため、 とくに 茶色 と 鼠 系統の多彩な色合いが生まれ、 そのつど、新しい ” 色名 ” が次々とつけられたそうです。
決して 華やかではない 色文化ですが、 粋で洗練された 日本の色彩文化 がここに誕生しました。
四十八色の茶色 と 百色の鼠色
その微妙で繊細な色彩の違いを 当時の人々は
見極め、楽しんでいたというから驚きです。
(※)本当は共に100をゆうに越える名前がありますが、 言葉のゴロ遊びで、四十八茶百鼠 と言うそうです。
コレは 僕達日本人の祖先の話。 遠かれど、その遺伝子を 僕達は受け継いでいるはずである。
そもそも、日本人は 色彩を分析し 見分ける能力が世界でもトップクラスなのが 科学的に立証されているらしいが、 その遺伝子のおかげであるのかもしれない・・・ですね。
僕たちカラリストはは 色を扱う仕事をしています。 人の髪で その色を表現しています。 日本人を中心に活動していると、 そのヘアカラーの大半は ” ブラウン ” であると言って間違いはないと思います。
そう。 ” 茶色 “ なのです。
だからこそ、 日本人カラリストとして 茶 を極めるのは必然であり、 薬剤 (カラー剤) をそれぞれの素材に対して 微妙な割合で配合し、 個々の髪色を創りだすこの” カラリスト “という仕事は・・・ まさに ” 四十八茶百鼠 ” の精神を 引き継いでいるのであるかのように思えます。
ある有名なコピーライターの方が面白い事を言っていました。
『 もし、江戸時代に ヘアカラーが存在していたらどうだったのでしょうね? 』 着物の色彩と同じく、それぞれの髪色にも 微妙で繊細な 茶 の色彩表現があったのかもしれない・・・
そんな空想ごっこをしてみながら 現代に目をやってみると、 言葉は悪いかもしれないが ” 色彩に対しての表現が 現代は非常に幼い “ そんな気がします・・・。
深くないというか、奥行きがないのである。
ヘアカラー1つをとってみても、
明るい、暗い、軽い、重い・・・。
その程度だったりする。
90年代にブームで始まったヘアカラーは、
今や社会的に認知され、誰もが当たり前のようにするようになりました。
これはもう、立派な文化であると 僕は思います。
そして、
現代の茶色の文化は 間違いなく
ヘアカラーなのであると 僕は思います。
日本には こんなにも素敵で奥深い
” 色彩の文化 ” が過去にあったのだから、
みなさんも もっと繊細に色に こだわってみてはいかがでしょうか?
とりあえず、いつも身につけている ” 髪の色 “ から…。
stair:case 中村太輔
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